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江戸時代にタイムスリップ 多摩の浮世絵展 国立「たましん歴史・美術館」:東京新聞 TOKYO Web

多摩川の景色を描いた浮世絵。秋月が照らす中でのアユ漁を描いている=いずれも国立市のたましん歴史・美術館で

多摩川の景色を描いた浮世絵。秋月が照らす中でのアユ漁を描いている=いずれも国立市のたましん歴史・美術館で

 江戸時代の多摩地域の風俗をうかがえる浮世絵を集めた企画展が、国立市の「たましん歴史・美術館」で開かれている。担当者は「いにしえの多摩にタイムスリップして旅行気分を味わってほしい」と呼び掛ける。十二月二十六日まで。(佐々木香理)

 コロナ禍で外出自粛が続く中、都心に出向くことなく地元ゆかりの芸術作品に触れてもらおうと企画した。たましん地域文化財団(同市)などが所蔵する江戸後期の浮世絵二十四点を「調布(たづくり)の玉川」「アユ漁」「小金井の桜」の三つのテーマに分けて展示している。

 調布の玉川は現在の多摩川にあたる。「玉川」は清らかな川を指し、全国六つある「六玉川(むたまがわ)」の一つとして和歌に詠まれてきた。江戸時代には浮世絵の画題としても好まれ、会場には歌川広重や歌川国芳の作品が並ぶ。学芸員の斉藤全人(まひと)さんによると、多摩川流域は麻の栽培が盛んで、和歌にも歌われており「調布の玉川を描く際には手織りの麻布を川にさらす女性らの姿が共通のモチーフになっている」と解説する。

「調布の玉川」を描いた浮世絵。川にさらすモチーフ同様、臼や木づちを使った「砧(きぬた)打ち」も多く描かれる

「調布の玉川」を描いた浮世絵。川にさらすモチーフ同様、臼や木づちを使った「砧(きぬた)打ち」も多く描かれる

 当時はアユ漁も盛んで幕府への献上品にもなっていたという。広重の「名所雪月花 多摩川秋の月 あゆ漁の図」では、月明かりの下でアユを捕る漁民の姿を捉えている。玉川上水の小金井堤で花見を楽しむ庶民の姿を描いた作品もあり、生き生きとした日常がうかがえる。

 斉藤さんは「コロナ禍の今こそ、近場で芸術文化を楽しめる本来の役割を発揮できれば」と話す。

 一般百円。中学生以下無料。月曜、祝日休館。問い合わせは同館=電042(574)1360へ。

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