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<新宿共助>大阪に、はよ帰りたい:東京新聞 TOKYO Web

故郷の大阪を離れ、新宿で路上生活を送る男性

故郷の大阪を離れ、新宿で路上生活を送る男性

◆新宿共助 食品配布の会場から

 背筋が伸びた姿勢のよい男性が目に入った。年齢を聞くと七十九歳。若々しい見た目の印象を告げると「鍛えてきたからね。今も毎日、朝と晩に腕立て伏せを三十回ずつしている」。

 都内に出ていた二度目の緊急事態宣言が解除されてからまもない四月十日、都庁前の食品配布会場で出会った男性に、寝泊まりしている高架下の段ボールハウスを案内してもらった。寝袋、靴、衣服が見えた。荷物は警備員に注意されるたび移動しているという。

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 半年前、仕事を探して大阪から来た。「上野駅で寝ていたら携帯電話、財布、ロッカーの鍵が入った荷物を盗まれた。生活保護を申請し、施設に入ったが保護費から利用料などを差し引くと手元には月三千円しか残らなかった」。一月から野宿生活を再び始めた。

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 大阪府出身。父が大衆演劇の劇団を率いていた。全国巡業のため、小中学校時代は十日ごとに転校する生活だった。自らも七歳のころから歌と踊りを教えられ、役者の道に進んだ。

 四十歳のころ、覚醒剤に手を出した。「副作用のせいか歯が抜け、せりふを話せなくなって劇団をやめた」。最近は旅館などで働いていたがコロナの影響で仕事がなくなった。

 五月に入り、再び男性を訪ねた。高齢者を対象に始まったワクチン接種をどうしているか気になったからだが「住所が無いからダメでしょ?」と逆に聞き返された。

 国は住まいのない人からのワクチン接種の相談に応じるよう自治体に連絡しているが、男性は「自分はワクチンがなくても大丈夫だと思うよ」と相談に行く気はない。仕事さえあれば、友だちもいる大阪に早く帰りたい。「年も年やしね。コロナは、はよ、終わってほしい」 (中村真暁)=随時掲載

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