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文化守るため「われわれは占拠する」 フランスで広がる劇場占拠 コロナ禍で共鳴呼ぶ平和的理念 :東京新聞 TOKYO Web

4月中旬、パリのオデオン座で、屋上の占拠者らに声援を送る市民ら=いずれも谷悠己撮影

4月中旬、パリのオデオン座で、屋上の占拠者らに声援を送る市民ら=いずれも谷悠己撮影

  • 4月中旬、パリのオデオン座で、屋上の占拠者らに声援を送る市民ら=いずれも谷悠己撮影
  • 4月中旬、パリのオデオン座で、「占拠中」を意味する「OQP」の旗が掲げられたの喫茶室で談笑する芸術家ら

 【パリ=谷悠己】フランスで、新型コロナウイルス感染拡大により休業中の劇場に芸術家らが泊まり込み、文化保護や弱者支援を政府に訴える運動が広がっている。占拠された劇場は全土で100カ所以上。社会運動の伝統が根付く同国で、2018年からの「黄色いベスト」に続く新たなうなりになる可能性もある。

 「文化と生活を守るため、われわれは占拠する」

 4月中旬、運動の火付け役となったパリの国立劇場「オデオン座」。屋上で声明文を読み上げる芸術家らに、市民が広場から拍手を送った。3月4日の占拠以来、毎日続く恒例行事。運動に共鳴する音楽家らの即席演奏会も開かれた。

 劇場内に入ると観劇席や通路に寝袋やマットが置かれ、喫茶室が占拠者らの会議や食事の場になっていた。「このような場所で思いを訴えられるのは光栄」と話すのは映画学校の学生ピエールさん(20)。劇場職員や警備員も占拠を容認する一方、占拠者側も劇団の練習中は会話を控えている。

 運動を発案した1人で、フリーランスの演劇、音楽関係者らでつくる労働組合の幹部カリーン・ユエットさん(49)によると、当初の目的は今夏で切れる休業補償の期限延長や、昨秋から閉鎖が続く劇場やホールの再開を訴えることだった。

 だが、他分野で働く人も運動に共鳴して占拠に加わる中で、訴えの趣旨は文化芸術以外に拡大。「社会的弱者が増える」として7月に政府が導入を予定する社会保障制度改革への反対が主目的になったという。

 訴える手法に劇場の占拠を選んだのは、コロナ禍で休業中だったことに加え、「歴史の前例に触発されたから」(ユエットさん)。18世紀末に仏王妃マリー・アントワネット臨席の下で開業したオデオン座は、時に公権力の象徴とみなされ、「5月革命」と呼ばれた1968年の社会運動でも占拠された経緯がある。運動が始まった3月は世界初の労働者政権パリ・コミューンの樹立から150年後。ユエットさんは「多くの参加者がコミューンの理念に共感している」と話す。

 仏政府のバシュロ文化相は「無意味で危険な行為」と批判するが、オランド政権(12~17年)当時の大統領府顧問で社会学者のムスタファ・サハ氏(70)は「基本理念に欠け暴徒化を招いた黄色いベスト運動と違い、明確な理念が平和的に訴えられている今回の運動には世論の支持が集まりやすいのではないか」と指摘する。

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