東京ニュース

アメリカに「虹の波」広がる トランスジェンダー議員、相次ぎ誕生:東京新聞 TOKYO Web

 米国で昨年の大統領選とともに実施された州議会選では、生まれた時の性別と異なる性を生きるトランスジェンダーを公表する候補者が少なくとも5人、歴史的な勝利を収めた。中西部カンザス州の下院選では、先住民の血を引くステファニー・バイヤーズさん(58)=民主党=が当選。全米で初めて、非白人でトランスジェンダーの議員になったバイヤーズさんは「今後、公職を目指す人たちのためにも門戸を開いていきたい」と抱負を語った。 (ワシントン・岩田仲弘)

ステファニー・バイヤーズさん=本人提供

ステファニー・バイヤーズさん=本人提供

◆「公職を目指す人に私の経験を」

 バイヤーズさんは公立学校で32年間、音楽教師を務めた。退職して州下院選に出馬を決めたのは、公教育への危機感と性的少数者(LGBTQ)の権利向上を訴えたかったからだ。

 バイヤーズさんは「厳しい州財政の影響を、教育がもろに受けている。高校で生徒に配布される教科書はボロボロだ。教員の給与は、最低限の生活を維持する水準に満たないが、バンドやオーケストラの指導で忙しく、予算増を訴える機会がなかった」と語った。

 2019年秋、LGBTQの生徒に対する差別解消を目指した教育団体が主催する首都ワシントンでの集会に参加。連邦最高裁前で演説した時、「(向かいに位置する)連邦議会議事堂のドームを目の当たりにして、LGBTQ社会の一員として、平等とは何か、議員として声を上げていこうと決意した」と振り返った。

 性転換を表明したのは教員になって24年後。「生徒たちはそれ以前から私がLGBTQに理解があることを知っていたが、性転換を通じて、性的指向や性自認は選ぶものではなく、自分が自分であることの一部である、といったことを説得力を持って伝えられるようになった」という。

 LGBTQの議員として注目されることについては「個人的には少々不愉快」とも。同時に「私たちLGBTQも同じ教員であり、同じお店で買い物し、食事をする。何も恐れることはなく、すばらしい人間関係を築けることを訴えたい。私たちが社会の一員として普通に受け入れられれば、今後公職を目指す人たちも私たちの経験から学べる」と、その役割を強調した。

 チカソー族の血を引くバイヤーズさんは「先住民はカジノとの関連で語られる以外は、すでに過去の話になりがちだ。多くの州民が州内に先住民保護区があることさえ知らない」とも懸念。「私たちは時代の変わり目にいる」と、人種平等に向けた課題にも積極的に取り組もうとしている。

◆史上最多334人当選、閣僚にも

 性的少数者の候補らを支援する「LGBTQビクトリーファンド」によると、2020年の連邦議会や州議会、首長や司法職などの選挙に立候補したLGBTQの数は少なくとも1006人で、それを公表して戦ったのは782人。うち当選したのは史上最多の334人(同年12月現在)だった。米メディアは「レインボーウエーブ」と報じた。選挙の結果、トランスジェンダーの州議会議員は計8人となり、他の選ばれた公職を含めると34人に上る。

 同ファンドのショーン・メロイ氏(33)は、LGBTQの候補者、当選者が増えた大きな要因に「トランプ前政権に対する危機感」を挙げる。トランプ前政権はオバマ元政権が認めたトランスジェンダーの軍入隊を禁止するなど、LGBTQに不寛容な政策を取った。

ブティジェッジ運輸長官(左)と配偶者のチャスティンさん=昨年2月、バージニア州の選挙集会で(岩田仲弘撮影)

ブティジェッジ運輸長官(左)と配偶者のチャスティンさん=昨年2月、バージニア州の選挙集会で(岩田仲弘撮影)

 メロイ氏は、来年の中間選挙では20年よりもさらに候補者が増えると予測。同時に「候補者が増えるとその分、保守層からの暴力的な中傷も増える」と、懸念も示した。

 バイデン大統領は前政権の方針を撤回し、再びトランスジェンダーの入隊を認める方針を表明。同性愛者で大統領選の民主党予備選で善戦したピート・ブティジェッジ氏(39)を運輸長官に起用した。LGBTQを公言した閣僚は史上初めて。さらに、厚生省の次官補にはトランスジェンダーを公表している前ペンシルベニア州厚生長官のレイチェル・レビン氏(63)を指名した。


クレジットソースリンク

もっと見せて!

Related Articles

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Back to top button