ライフスタイル

東京でなぜ感染減少?「ワクチンと移動率」が関係 | m3.com

 京都大学大学院教授の西浦博氏らは、東京都や大阪府の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の実効再生産数(Rt)は、レストラン、カフェ、ショッピングセンター、テーマパークなど、行楽の行き先となりやすい場所への人の移動と関係するとのデータを公表した。駅や公園、職場への移動とも関係し、これらの増減が最近の新規感染者数の減少につながっていると、西浦氏は見る。

 データは、9月16日の厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(座長:脇田隆字・国立感染症研究所長)で公表した(資料は、厚労省のホームページ)。

 西浦氏は、「人流の中でも、移動率と実効再生産数が強く相関する。特に retail and recreationへの移動は、予測精度が高いことは海外でも知られてきた。感染のリスクが高いとされる行先に対応しているものと思う。日本でも最近の感染者数の減少は、ワクチン接種の拡大だけでなくて移動率の減少に対応していることが示された」と説明する。「retail and recreation」に該当するのが、レストラン、カフェ、ショッピングセンター、テーマパークなどだ。

 

(2021年9月16日厚労省新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード資料)

 西浦氏らの研究は、「Google mobility」のデータを使った分析。東京都や大阪府について、COVID-19流行前の2020年1月3日から2月6日の平均値をベースラインとして使用し、人流の相対的な変化(relative mobility)と、実効再生産数との関係を見たものだ。

 人流を分析したのは、▽retail and recreation(レストラン、カフェ、ショッピングセンター、テーマパークなど)、▽station(駅)、▽grocery and pharmacy(食品スーパーなど)、▽works(職場など)、▽parks(公園など)、▽residentials(自宅)――だ。

 実効再生産数の増加と最も関係しているのが、「retail and recreation」。「最も重要な伝播の場への移動率が、適切に実効再生産数の時間変化を捉えていると考えられる。parksは移動する頻度がrecreation and retailに近いのであろうと推察される」と西浦氏は説明する。

 「station」は、地下鉄、バス、駅などの公共交通機関のハブへの移動率を反映している。「連休時にはGoogle mobilityが普段モニタリングしている東京駅、新宿駅、池袋駅、品川駅などでシャープに減少するが、同時に実効再生産数が急増する。新幹線や特急の利用など、連休モードの移動で行楽地に行くと、recreationsの移動率にカウントされ、屋内で向かい合って伝播が起こりやすい環境条件にある、ということだろう」(西浦氏)。

 リモートワークが推奨される中、興味深いのが「works」。「stations」と同様に、連休で移動が減り、それに伴い、実効再生産数は下がる。それだけでなく、「works」が定常状態で続く時は、実効再生産数が徐々に上がる傾向が見られた。西浦氏は、「職場は明らかに伝播の場の一つであり、職場での接触が続くと感染者は増えていくという、メカニズムに対応しているものと思う」と説明する。

 「works」とおおむね反対の傾向にあるのが、「residentials」だ。連休中には行楽地への移動が増えるものの、「ステイホーム」をしている人も少なくないことがうかがえる。

 なお、人流については、COVID-19の流行初期から「夜間滞留人口」が用いられてきた。今回提示された6つの指標との関係について、西浦氏は次のように説明する。「緊急事態宣言下で感染者が多い間は、移動率が有用な傾向があった。他方、流行サイズが小さく、伝播の場が主に夜間の繁華街が中心的である間は、夜間滞留人口がより正確に実効再生産数の時間変化を捉えている。いずれも人流と呼ばれるものだが、流行ダイナミクスの大きさや地理的な偏り、対策の有無などによって使い分けてモニタリングすることが求められる」。

 ワクチン接種で実効再生産数は約2割減

 西浦氏らは、ワクチン接種が進むにつれ、実効再生産数の低下にどの程度、寄与するかについても推定。6月21日時点と比較すると、8月末で約2割減少させているとの結果だった。

(2021年9月16日厚労省新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード資料)

 西浦氏は最近の感染状況についても分析。東京都の9月16日時点で推定した実効再生産数は0.59(最新推定感染日付は8月31日)。9月7日推定:0.76、8月31日推定:0.91、8月24日推定:1.08であり、1を切った以降も減少傾向が続いている。

 東京都の「報告日別感染者数の推移」は、今週先週比が「0.6、0.8、1.0」倍が継続した場合で推定。現状に近い0.6では9月下旬には500人を割ってくる見通しだ。前回(9月8日公表時点)は「0.6、0.8、1.0」倍、前々回(9月1日公表時点)は「0.8、0.95、1.1」倍だった。

(2021年9月16日厚労省新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード資料)

新型コロナウイルス特設ページ COVID-19

クレジットソースリンク

もっと見せて!

Related Articles

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Back to top button