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ドキュメンタリー作品を通して考える気候危機…今からできる“エコ”なこと<アーカイブ> | cinemacafe.net

シネマカフェでは「Let’s Keep Updated」と題し、映画をきっかけに地球のこと、私たちのことについてトークし考えるオンラインイベントを随時開催中。今回は、進行役に奥浜レイラさん、ゲストにモデル・気候アクティビストの小野りりあんさんを迎え、ドキュメンタリー作品を通して気候危機について学びながら、私たちが今からできる“エコ”なことについて語り合ってもらった。

世界の現状、日本の現状は今、どうなっている?

2014~15年までデンマークに留学し、同世代と社会問題を語り合う中でタイムリットがある気候変動について、今立ち上がらないで後悔するよりも勇気を出して行動したほうがいいと考え、NGOでのボランティア活動やSNSでの発信を行ってきたという小野さん。小野さんが、俯瞰的に見て未来を一番的確に予測できている機関というのが「IPCC」(国連気候変動に関する政府間パネル)だ。

小野:「IPCC」は各国の専門家、世界中の研究者がレポートを引用して評価する会議です。14,000本もの論文を引用し、それを全てオンライン上で公開することでいろいろな方がViewコメントできるので、その7万8000件のコメントに対してすぐに対応したり、できるだけオープンに開示していろいろな方が意見を言い、一番誠実な予測をしようとしている機関です。

最近「IPCC」の第6次報告書が出たのですが、地球の温度上昇が(パリ協定で定められた目標値)1.5度に到達するのが想像よりも10年早まってしまう結果が出ていて…。最新の技術でより精密に将来を予測できるようになったこともあり、想像以上に地球がやばくなっちゃったことが科学的に証明できた感じです。そうなると、2040年までには1.5度上昇してしまう可能性が出てきたんです。

奥浜:1.5度上昇したら、どんなことが地球に起きるのですか。

小野:よく言われているのが、地球の温度上昇が1.5度を超えるというのは、どんなに私たちが努力してCO2削減をしても、地球温暖化に歯止めが利かなくなる、臨界点みたいなもの。1.5度を超えてしまうと、私たちがどんなに努力しても地球が温度上昇するのを止めることができない。逆にいうと、2050年までに1.5度未満に温度上昇を抑えることができたら、私たちがまた慣れ親しんだ平均温度まで徐々に下げていくことが可能だと言われています。

第6次報告書は世界中の科学者たち、研究者たちが一番高いビルの上から「地球マジでやばいよーー」って世界中に叫んでいるようなもの。みんな本気で問題視してちゃんと取り組まないと、という内容です。

奥浜:“ビルの一番上”ということは、みんなの知識が積み重なった上であっても、下にいる人には逆に「やばいよー」という声が届かないのでは?

小野:確かに(笑)。そこをみんなに届けさせるっていうのが、(今回の)こういうイベントの意義なんだろうと思います。

まず0(ゼロ)を1(イチ)にする…私たちができること

小野:地球全体の1.5度上がるとどんなことが起きるかというと、太平洋に浮かんでいる島々、例えばツバルは国自体がまずなくなってしまう。また、南アジアのバングラデシュも土地の3分の2が平地なので沈んでしまうといわれていますし、日本も全く例外ではなくて、海面上昇すると東京も、大阪も、名古屋も沈んでしまうところが増えるといわれています。

最近、地球が暑くてクマってます。 シロクマが教えてくれた温暖化時代を幸せに生き抜く方」(文響社)という本が出ましたが、日本で一番気候変動をわかりやすく説明するといわれている気象学者・江守正多さん監修のかわいい本で、こちらにもわかりやすい地図が出ています。

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日本では、(パリ協定で)1.5度目標となったときに、2030年までにCO2の削減目標を60%目指していなければならないのですが、政府が最近出した数字では今のところ46%。全然満たない数字なんです。どこで一番CO2を出しちゃっているかといえば、90%がエネルギーといわれています。メインになってくるのが発電。石炭を燃やして電気を作っているので、その代わりに再生エネルギー、太陽光とか、風力とか、掘り起こさなくても輸入しなくても自然に発生する電気に一気に切り替えるとCO2の削減は目指せるんですが、そこら辺はあまり力を入れていない状況です。

奥浜:日本国内の話題として、ポジティブなものはあるのでしょうか。

小野:電力自由化になりましたから、企業も、私たち個人もどこの電気を使うかということが選べるようになりました。最初に私たちができることとして、パワーシフト(自然エネルギーを中心にした持続可能なエネルギーに変えていくこと)はあると思います。区や県レベルでもCO2削減を頑張ります、という宣言をしているところもあります。

奥浜:自治体が動くことで、公共のもの、大きなものを変えていけますよね。

小野:そういうことをしてくれる議員に投票することも大事ですし、現在の議員に思いを伝えていくと、関心のない人を巻き込んだ地球にやさしい町づくりができるから、それは実は効果的です。

奥浜:(選挙で投票する)1票は本当に小さいけれど、変わっていっているところはあると。

小野:0(ゼロ)と1(イチ)は大きな違いがあって、1がたくさん集まることで100になったり、1000になったりするので、みんなの1票って大事なんですよね。

小野りりあんがおすすめするドキュメンタリーは?

小野:まずNetflixにある『地球の限界 “私たちの地球”の科学』。最新の地球のタイムリミット、1.5度を超えてしまったらどうなるのかが科学者たちによって言われていますし、気候変動の問題だけではなく生物多様性の問題とか、今地球に何が起きているのかをカバーしている内容になっています。

限界値にきている問題はたくさんありますが、ちゃんと取り組むと安全なレベルにまで戻していけるから頑張っていきましょう、という…。オチを言っちゃいましたが(笑)、そんなことも知れる映画です。

奥浜:「『マッドマックス』ワールドが待っているんだよ」など、パワーワードもたくさんありました。

小野:続いて『キス・ザ・グラウンド:大地が救う地球の未来』(Netflix配信中)。気候変動の話をすると、やはり暗いことばかりを学ぶことになりますが、私たちがどう行動することで地球を再生させていけるのかの話がされているドキュメンタリーです。特に農業にフォーカスしています。こういうふうに作っていければ土地も再生するし、私たちも豊かになるよという。

気候変動って環境の話だと思われがちだけれど、人間の話だし、私たちの話なんですよね。地球は別に私たちがいなくても全然問題がないけれど、私たち自身が生きていけなくなってしまう。自分たちの首を絞めていることになっちゃうんだよね。

奥浜:『キス・ザ・グラウンド:大地が救う地球の未来』は見やすかったですし、ナレーションのウディ・ハレルソンがいい声です(笑)。

『キス・ザ・グラウンド:大地が救う地球の未来』&『地球の限界 “私たちの地球”の科学』

より意識が変わる、深まるドキュメンタリーも

小野:あとは政治に関わる作品ですね。今コロナの問題もありますし、いろいろな危機がある中で、危機に対応できる政府、政策という、免疫力のある政治を作らないと私たちの生活を守れないですよね。

私はなるべく政治に関わらないで自分にできることをやっていこうと、長くやってきましたが、その意識を変えてくれたのがアメリカの議員たちなんですよ。そういうことをドキュメンタリーでもよく知れるというのが、この2本『レボリューション -米国議会に挑んだ女性たち』『すべてをかけて:民主主義を守る戦い』です。

『レボリューション -米国議会に挑んだ女性たち』(Netflix配信中)は2018年の選挙の際に、今まで白人のお金持ちの年を取った男性たちがアメリカの政治をリードしてきた中で、若くて有色人種で、しかも貧しさを経験している女性たちが各州で立候補して、その地で市民たちがどういうふうに応援して選挙に向かったのかを追っているドキュメンタリーです。その中で特にフォーカスが当たっているのが、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス。今日も「TAX THE RICH(お金持ちに増税を)」と書いたドレスを着てInstagramをアップしていましたね。

奥浜:それをメットガラという、基本的にリッチな方が集まる場所に着ていくという。

小野:もう最高です。

『すべてをかけて:民主主義を守る戦い』はAmazonPrimeで見ることができます。トランプ政権からバイデン政権になったアメリカ。その大統領選のキーパーソンになったステイシー・エイブラムスという方がいるのですが、彼女がどうやって国民のために闘ってきたのかを知るドキュメンタリーです。本当に地道なんです。日本では誰でも投票に行けますが、ジョージア州では黒人層や低所得者層が選挙に行きづらい制度を作っていて、選挙権を手にすることも大変な状況になっているのをどう変えていったのかが描かれています。1軒1軒、ドアをノックして回って、本当に草の根。実際に大きな変化をもたらしたので、本当に1人1人の努力がすごい力になるんだということを再確認した映画でした。

『レボリューション -米国議会に挑んだ女性たち』『すべてをかけて:民主主義を守る戦い』

奥浜:グレタ・トゥーンベリのドキュメンタリー『グレタ ひとりぼっちの挑戦』の10月22日(金)に公開されますね。

小野:グレタ・トゥーンベリは、“国連でピンクの服を着て叫んで怒っている女の子”と一時期メディアに取り上げられましたが、気候変動のために立ち上がって、世界中の若者たちが「自分の未来を奪わないで」と声を上げるきっかけになったムーブメントを起こした方です。彼女って本当に素晴らしいスピーチをあちこちでしてきています。彼女が立ち上がって今現在に至るまでを追ったドキュメンタリーになります。

奥浜:学校に行かずに、選挙で気候変動についてもっと取り上げてほしい、それを争点にしてほしいとストライキをしていたところから追ってるじゃないですか。彼女が世界に名前を知られる前ですよね。

小野:彼女のより人間らしさというか、彼女自身アスペルガー症候群を持っているから、その困難がどうあったかとか、どう闘ってきたかが表れていますね。

奥浜:環境のことを発言すると怒っているようなイメージを持たれがちだと思うんですが、男性の方が真剣な表情でスピーチしても何も言われないと思いますが、彼女が若い女性だから言われるんだなと。作品を見ていくとミソジニーまであぶり出されていくというか。そういうのもなくなったらいいなと思います。

一番大切なことは、ライフスタイルを変えることじゃない

奥浜:新しい洋服を買うことは環境破壊につながるのか、という質問が読者から寄せられています。

小野:物を買うということは何でも、製造する過程でも輸送の過程でもCO2が出てしまう。負荷は必ずあるんです。それは本当に自分が欲しい物か、生涯長く使うつもりなのか。できるだけ、そうやって物を増やさないようなマインドセットが大事かなと思います。

私たち1人1人がどんなにライフスタイルを変えたところで、(CO2を)日本はエネルギーで排出しているのだから、まずはシステムを変えていかないと生きられる地球は作れない。そこに気がつくのは大事かなと思います。だから、自分の首は締めないで。自分が“エコ”にできてないからとか、そこはあんまり気にしない。自分が快適に、心地よく、地球にいいことをできているなと感じるために何かを始めるのはいいことですが、ただ、それだけで世界を変えられるとは思わないほうがいいかも。

奥浜:罪悪感を持ったり、自虐的になって続けられなくなるよりは、例えば完全にヴィーガンの生活を選ぶ人もいれば、時々ヴィーガンの生活を選ぶ人もいるように、いろいろある。でも頭のどこかには環境負荷がかからないものをっていう意識がある、というだけでも何か変わっていくんじゃないかなと思います。

登壇者プロフィール
<奥浜レイラ>
映画と音楽の分野を中心に活動するMC・ライター。映画の舞台挨拶イベントやアーティストのインタビューなど作り手の想いを伝えるためのサポートをしながら、誰もが生きやすい社会に向けて手助けになるような作品を紹介している。
<小野りりあん>
モデル・気候アクティビスト1989年青森県生まれ。3歳から北海道札幌市で育つ。モデル業の一方で、気候アクティビストとして活動し、仲間とともに環境問題に関する情報発信を行うウェブメディア「SPIRAL CLUB」を立ち上げた。アクティビストハウス「the roots」を2020年5月設立。誰もが市民運動に気軽に参加できるオンラインプラットフォーム を「Green TEA」設立。
【Instagram】@_lillianono_
@activistshouse
@green.tea.official


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