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汚染水を浄化しても残るトリチウムとは? 世界中の原子力施設で海洋放出、環境への蓄積で内部被ばくの懸念も:東京新聞 TOKYO Web

 福島第一原発の1000基以上のタンクで保管が続く処理水には、放射性物質トリチウムが多く残る。汚染水を浄化処理する多核種除去設備(ALPS=アルプス)ではセシウムなど62種類の放射性物質を除去できるが、トリチウムは取り除けない。

 トリチウムは三重水素と呼ばれ、自然界にも存在する。放射能を帯びた水素で酸素と結合してトリチウム水になり、普通の水と分離するのは技術的に難しい。放射線(ベータ線)は比較的弱く、人体に入っても大部分は排出され、影響は小さいとされる。放射能は約12年で半減する。

 トリチウムは、原発や使用済み核燃料の再処理施設でも発生し、排出基準は各国で異なるものの海に流している。ただ、環境への蓄積により水産物を食べることで内部被ばくにつながるのではという見方もある。

事故収束作業が進む福島第一原発の原子炉建屋。奥には処理水のタンクが並ぶ=10日、福島県で、本社ヘリ「おおづる」から(戸田泰雅撮影)

事故収束作業が進む福島第一原発の原子炉建屋。奥には処理水のタンクが並ぶ=10日、福島県で、本社ヘリ「おおづる」から(戸田泰雅撮影)

 経済産業省によると、福島第一原発の処理水約125万トンに含まれるトリチウムは約860兆ベクレル。事故前は年間約2.2兆ベクレルを海に放出していた。福島第一と発電方式が異なる加圧水型の関西電力高浜原発(福井県)などからは、年間18兆~83兆ベクレルを放出している。韓国の古里原発では、2016年に約45兆ベクレルを海に放出した。

 再処理施設では、桁違いに増える。フランスのラ・アーグ再処理施設では1年間の排水に含まれるトリチウムは1京(1兆の1万倍)ベクレル以上。日本でも青森県六ケ所村の再処理工場(建設中)は試運転をした3年間で2150兆ベクレルのトリチウムを海に流した。

 福島第一の処理水の処分で、政府と東電は国の排出基準(1リットル当たり6万ベクレル)を大幅に下回る1リットル当たり1500ベクレル未満に海水で薄めて放出するとしている。これは福島第一で汚染されていない地下水を海に処分する際と同じレベル。放出前には第三者機関が濃度を確認するとしているが、誰もが知ることができる情報公開の透明性がなければ、不安は払拭できない。(小川慎一)

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