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<メディアと世界>オーストラリアで記事使用料の支払い義務付け IT企業対象 世界初、他国に波及か:東京新聞 TOKYO Web

1面でフェイスブックをめぐる問題を伝えるオーストラリア各紙=AP・共同

1面でフェイスブックをめぐる問題を伝えるオーストラリア各紙=AP・共同

 オーストラリア議会は25日、巨大IT企業に対し、ネット上に掲載するニュース記事の使用料支払いを義務付ける世界初の法案を可決した。報道機関の経営難を背景に、コンテンツの「仲介役」として巨額の広告収入を稼ぐIT企業に公正な負担を求める規制の先駆けとして注目されており、各国に波及しそうだ。(ワシントン・白石亘)

◆背景に「タダ乗り」不満

 「公益性の高いジャーナリズムを維持するのに役立つ。重要な経済改革で世界中が注視している」。豪州のフライデンバーグ財務相は25日、声明で法案が可決された意義を訴えた。

 今回の法律は、巨大IT企業とメディアとの交渉力の差を埋めるのが目的だ。両者にニュース使用料の交渉を求め、合意できなければ、独立した仲裁者が法的な拘束力のある使用料を決める。背景にはIT企業がニュースに「タダ乗り」し報道機関から広告収入を吸い上げたとの不満がある。

 グーグルは当初反対だったが、法案可決が避けられなくなると妥協に動き、豪大手メディアに対価を払い、記事提供を受ける契約を相次いで結んだ。だがフェイスブック(FB)は「メディアは白紙の小切手を要求できる」(幹部)と反発。豪州でニュース閲覧を禁止し、訪問者が2割減ったニュースサイトもあった。

 この結果、豪政府は修正に応じた。IT企業がメディアと個別に支払い契約を結び、ニュース業界に「大きく貢献した」と政府が判断すれば、法律の適用対象から除外される。米リーハイ大のジェレミー・リタウ准教授は「中小メディアが仲裁を求めても、FBが『ニュースに多額の投資をしている』と主張すれば、仲裁を強制されるのを回避できる」と懸念を示す。

ジェレミー・リタウ准教授=グレッグ・タプラー氏撮影

ジェレミー・リタウ准教授=グレッグ・タプラー氏撮影

◆カナダや英国も法案検討

 FBが「核のボタン」(米メディア)にも例えられる実力行使に出たのは、各国の規制を左右する前例になるからだ。特に欧米ではコロナ禍で地方紙の経営難が深刻で、カナダや英国も同様の法案を検討している。FBも硬軟織り交ぜた世論対策に余念がなく、24日には今後3年で少なくとも10億ドル(約1060億円)を記事使用料などで報道機関に払うと表明した。

 リタウ准教授は「FBにとって最大の脅威は、国境を越えて規制が広がることだが、間違いなくそうなるだろう」と予測。「ボタンを押せば、ニュースを消せるほどの力を持つ彼らが再び抑圧的な戦術を採ることが懸念される」と語る。


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